大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和25(れ)1767 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人大西和夫の上告趣意第一点について。

しかし、昭和二二年政令一六五号の規定にいわゆる所持とは物を自己の事実上の

支配内におくことを意味するものであつて、通俗語の所持とその意味を異にすると

ころがないから、同政令の所持の違反罪を判示するにも、所論のように所持の方法

等を具体的に判示するの必要はないものといわねばならぬ。されば、所論の原判示

は同政令の所持の違反罪の判示として毫も欠くるところがない。そして所持の意思

その他原判示事実の認定は原判決挙示の各証拠に照してこれを肯認するに足り、そ

の間反経験則等の違法もないから、原判決には所論のように証拠の趣旨を変更して

判示事実を認定した違法は存しない。論旨は結局原審の裁量に委ねられている事実

認定を非難するに帰し上告適法の理由とならぬ。

同第二点について。

しかし、刑の執行猶予を言渡すか否かは事実審たる裁判所の自由裁量に委ねられ

ているところである。従つて原裁判所が犯罪の情状を斟酌した上被告人に対して刑

の執行猶予の言渡をしなかつたとしても、それは法律の認めた事実裁判官の自由裁

量の範囲に属するところであり、必ずしも憲法一三条により保障されている個人の

尊厳を侵すものと速断することはできないものと解すべきことは当裁判所の判例(

昭和二三年(れ)二〇一号同年三月二四日大法廷判決竝びに同年(れ)九五号同年

一〇月二一日第一小法廷判決、判例集二巻一一号一三七七頁)とするところである。

されば、たとい、所論のような事情が被告人にあるとしても、それにもかかわらず、

原裁判所が被告人に対して刑の執行猶予を言渡さなかつたからといつて、原判決を

目して所論憲法の規定に違反するものとはいえない。所論は結局原判決の量刑を不

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当と非難するに帰し上告適法の理由とならぬ。

よつて旧刑訴四四六条に従い裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

検察官 福島幸夫関与

昭和二六年三月一日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 澤 田 竹 治 郎

裁判官 眞 野 毅

裁判官 齋 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

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